かつて私たちの暮らしにとって身近だった海は、都市開発や産業の発展により、だんだんと遠い存在になっています。
特に東京湾周辺では、人々が日常的に海と触れ合う機会は大きく失われてしまいました。
このような状況だからこそ、私たちは豊かな自然と人々の営みの歴史が今なお息づく木更津の「盤州干潟」に、大きな可能性を見出しています。
ここは、古くからの生態系が残る一方で、東京湾アクアラインの開通などで社会が変化し続ける、いわば現代社会の縮図ともいえる「生きた教室」です。
この場所での体験学習は、単に海の生き物を観察するだけにとどまりません。
海が気候や食、地域の歴史、そして私たち自身の暮らし全体と、いかに深く、複雑につながっているのかを肌で感じる貴重な機会となります。
私たちの最終的な目的は、生徒たちがその気づきから自ら「なぜだろう?」という問いを立て、答えを探し始める「探究心」そのものを育むことにあります。
海から始まる学びが、やがて自分たちを取り巻く世界全体への関心へと広がっていく、このプロジェクトはそのための力強い一歩となるものです。